The view from Hua Hin
Eclipse Phase
心はソフトウェア。 プログラムせよ。
肉体は入れ物に過ぎない。 交換せよ。
死は単なる病気だ。 治療せよ。
絶滅の危機が近づいている。 立ち向かえ。
世界観の説明は、こちらを。
SFやゲームの世界にとどまらず、幅広い分野で活躍している岡和田晃さんに誘われ、今まで全く経験のなかったテーブルRPGなるものをやる羽目になった。その時に、「とりあえずキャラクターを作りましょう」、いうことで、作ったキャラクターがザイオン=バフェットなる元大富豪のオクトモーフである。実際のゲームの方では、サイコロ運が悪かったこともあり、ほぼ活躍する場面がなかったのだが、小説では、ルールに縛られる部分はあるものの、作者が作ったサトーリーの中で、自由に活躍させることができる。
作者は、ほぼサイコロを振らないので。
最初の「ザイオン・イン・アン・オクトモーフ」はなぜ大富豪だったザイオンがオクトモーフの体で金星にいることになったのか、を書いた話。
今となっては、どうしてこんな話にしたのかよく覚えていないのだが、タコがカラスにつつかれる話にしよう、と言うことで、メインキャラクターの一人(カラスなので一羽?)のインドラルが生まれた次第。
オクトモーフであることを強く意識していた面があり、タコの身体性にもこだわってみました。柔軟で丈夫なタコの体に入れることによって、与えることができる苦痛を大きくして、拷問の効果を高めようとする、というのは今まで例がないんじゃないでしょうか。
この作品でのもう一つのこだわりポイントは、心がソフトウエアであるなら複数のソフトウエアを使い分けてもいいというところで、なぜ、そんな使い分けをしているのか、使い分けが必要な理由も、小説の重要な要素になっています。
しかし、苦しいタイトルだなぁ、というのは否めませんね。
第二作の「ザイオン・イズ・ライジング」は、ザイオンをオクトモーフの体に復活させ、激しい拷問をしたマデラを、ザイオンが罠にかける話。ここでも、カラスのインドラルが重要な役割を担います。
もっとも、ザイオンにとって復讐はついででしかなく、金星の外にある自らの財産にアクセスすることが目標。そのために、マデラを追い込んでいく過程を書いています。
第三作の「ザイオンズ・チケット・トゥー・マーズ」では、ザイオンが、カザロフという協力者を得て、金星を脱出する話。もっとも、金星を脱出するには、マデラによる金星全体の監視をかいくぐる必要があり、そのためには負わされている負債を処理しなければならない。そんな状況で、いかにザイオンが復活したマデラを罠にかけるかが鍵になります。
いつものように義体の乗り換えがポイントになっていますが、金星の社会情勢とか、経済構造といった背景を意識した作品になっています。